「生命保険はいらないのでは?」
「保険料を払うより、その分を貯蓄や投資に回した方が良いのでは?」
このように生命保険の必要性について疑問を持つ人は少なくありません。
実際、生命保険はすべての人に同じ金額・同じ内容で必要になるものではありません。独身で十分な貯蓄がある人と、子どもがいる家庭では、必要となる保障は大きく異なります。重要なのは、生命保険に入るべきかどうかを一律で判断することではなく、自分の家族構成・収入・資産状況に対して必要な保障があるかを確認することです。
この記事では、
- 生命保険が「いらない」と言われる理由
- 生命保険が必要になりやすい人
- 生命保険が不要または優先度が低い人
- 必要保障額の考え方
- 保険を見直すタイミング
について解説します。
生命保険はいらないと言われる理由
生命保険が不要と言われる主な理由は、以下の4つです。
- 公的保障があるため
- 貯蓄で対応できる場合があるため
- 投資や資産形成を優先した方が良い場合があるため
- 必要以上の保障に加入しているケースがあるため
ただし、これらは「すべての人に生命保険が不要」という意味ではありません。
生命保険は、公的保障や貯蓄では不足する部分を補うための商品です。
理由1:公的保障によって一定の備えがあるため
生命保険を考える際、最初に確認すべきなのは民間保険ではなく、公的保障です。
日本には、万が一家族を支える人が亡くなった場合に備える制度があります。代表的なものが遺族年金です。一定の条件を満たす場合、残された家族には、
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
などが支給される可能性があります。
また、生命保険文化センターも、死亡保障を考える際には、公的保障や企業保障を確認したうえで、不足する部分を生命保険で準備する考え方を紹介しています。(生命保険文化センター 遺族保障ガイド)
つまり、「生命保険に入っていない=何も保障がない」というわけではありません。まず公的保障でどこまで備えられるかを確認し、その不足分を考えることが重要です。
理由2:貯蓄で対応できる場合があるため
生命保険の役割は、万が一の際に発生する大きな経済的負担へ備えることです。
そのため、十分な金融資産があり、万が一の場合でも生活費や必要な支出をまかなえる場合、生命保険の必要性は低くなることがあります。例えば、
- 独身
- 扶養家族がいない
- 十分な預貯金がある
- 住宅ローンなど大きな負債がない
という人の場合、死亡保障を大きく準備する必要性は低い可能性があります。
一方で、「貯蓄があるから不要」と簡単に判断するのは注意が必要です。確認すべきなのは、現在の貯蓄で、残された家族の生活をどの程度維持できるかです。
理由3:投資や資産形成を優先した方が良い場合があるため
生命保険不要論では、「保険料を投資に回した方が良い」という意見があります。
これは一部では正しい考え方です。
ただし、保険と投資は目的が異なります。
生命保険の目的
- 万が一の死亡リスクへの備え
- 大きな経済的損失への対応
投資の目的
- 将来の資産形成
- お金を増やす可能性を得ること
です。
投資には元本割れの可能性があり、必要なタイミングで必ず使えるとは限りません。
金融庁も、資産形成では長期・積立・分散投資などの考え方を示す一方、金融商品には元本割れのリスクがあることを説明しています。(金融庁 資産形成の基本)
そのため、「保険か投資か」ではなく、「保障が必要な部分は保険、長期的に増やしたい資金は投資」というように目的を分けて考えることが重要です。
理由4:必要以上の保障に加入している場合があるため
生命保険が不要と言われる背景には、必要以上の保障を持っているケースもあります。
例えば、
- 独身時代に加入した大きな死亡保障をそのまま継続している
- 子どもが独立した後も高額保障を維持している
- 住宅購入後も以前と同じ保障額のまま
- 貯蓄型保険に偏りすぎている
などです。
生命保険は一度加入したら終わりではありません。生活状況が変化した場合は、保障内容も見直す必要があります。
生命保険が必要になりやすい人
生命保険が必要かどうかは、家族構成や資産状況によって変わります。
特に以下のような人は、生命保険による備えを検討する価値があります。
子どもがいる家庭
子どもがいる家庭では、万が一の場合に必要となる費用が大きくなります。
主なものは、
- 子どもの生活費
- 教育費
- 住宅費
- 配偶者の生活費
です。特に子どもが小さい場合、親が亡くなった後も長期間にわたり生活費や教育費が必要になります。
必要保障額は、
- 子どもの人数
- 子どもの年齢
- 配偶者の収入
- 現在の資産
- 公的保障
によって変わります。
生命保険文化センターも、必要保障額は家族構成、収入、資産状況、子どもの年齢などによって異なると説明しています。
(生命保険文化センター 万一の際に必要な保障額の算出方法と具体例)
子どもがいる家庭の場合は、単純に「平均的な保険金額」に合わせるのではなく、自分の家庭に必要な不足額を考えることが重要です。

配偶者の収入だけでは生活維持が難しい家庭
夫婦世帯でも、生命保険が必要になる場合があります。
例えば、
- 一方の収入への依存度が高い
- 育児や介護で働き方が制限される
- 住宅ローンが残っている
場合です。
共働きでも、「片方が亡くなっても家計への影響はない」とは限りません。
貯蓄だけでは大きな支出に対応できない家庭
生命保険は、突然発生する大きな経済的負担に備えるものです。
例えば、
- 子どもがまだ小さい
- 住宅ローンがある
- 貯蓄が十分ではない
場合、万が一の際に家族の生活を維持するための資金が不足する可能性があります。
自営業・フリーランス
自営業やフリーランスの場合、会社員とは社会保障制度が異なります。
会社員には勤務先や社会保険による保障がありますが、働き方によっては自分自身で備えを考える必要があります。
そのため、
- 家族構成
- 事業状況
- 貯蓄
- 公的保障
を踏まえて保障を検討することが重要です。
生命保険が不要または優先度が低い可能性がある人
一方で、以下のような場合は生命保険の優先度が低い可能性があります。
独身で扶養家族がいない人
自分が亡くなった後に生活費を必要とする家族がいない場合、死亡保障の必要性は低くなることがあります。
ただし、
- 葬儀費用
- 親族への負担
- 住宅ローンなどの負債
については確認が必要です。
十分な金融資産がある人
金融資産が十分あり、万が一の場合でも生活や必要な支出に対応できる場合、生命保険より資産管理を優先する考え方もあります。
子どもが独立した後の家庭
子どもが独立すると、必要な死亡保障額は変化する可能性があります。
子育て期間中は、
- 教育費
- 生活費
への備えが必要でしたが、子ども独立後は必要保障額が減少する場合があります。

必要保障額はいくら?生命保険金額の考え方
生命保険の金額は、「平均額」や「周囲の人が加入している金額」で決めるものではありません。
基本的な考え方は、以下で算出される必要保障額です。
必要保障額 = 残された家族に必要なお金 - 公的保障 - 現在の資産 - 将来得られる収入
生命保険文化センターでも、必要保障額は支出見込額から収入見込額を差し引いて考える方法を紹介しています。
必要となる支出には、
- 家族の生活費
- 教育費
- 住宅費
- 葬儀関連費用
などがあります。
一方で収入側には、
- 遺族年金
- 配偶者の収入
- 貯蓄
- 退職金
などを含めて考えます。
生命保険を見直すべきタイミング
生命保険は、人生の変化に合わせて見直すことが重要です。
代表的なタイミングは以下です。
結婚
配偶者の生活保障を考えるタイミングです。
出産
教育費や生活費への備えが必要になります。
関連記事:
[結婚・出産でお金はどう変わる?家計・保険・貯蓄で見直したい7つのこと]
住宅購入
団体信用生命保険(団信)によって住宅ローンへの備えが変化するため、生命保険の見直しタイミングになります。
関連記事:
[住宅購入で見直したいお金7項目|住宅ローン・団信・保険を整理]
転職・独立
収入や勤務先制度が変化するため、保障内容を確認する必要があります。
子どもの独立・退職
老後資金とのバランスを考え、保障を整理するタイミングです。
生命保険の必要性を自分だけで判断するのが難しい場合
生命保険は、
- 公的保障
- 家族構成
- 収入
- 資産
- 将来支出
を合わせて考える必要があります。
そのため、「今加入している保険が適切かわからない」「必要保障額を計算したが判断できない」「複数の商品を比較したい」という場合には、保険相談サービスを利用して第三者から確認する方法もあります。
ただし、相談方法には違いがあります。
- 電話相談
- オンライン相談
- 訪問相談
- 店舗相談
など、それぞれ特徴があります。
自分の生活スタイルに合った相談方法を選ぶことが重要です。
まとめ
生命保険はいらない、という考え方が当てはまる人もいます。しかし、重要なのは加入するかどうかを最初から決めることではありません。確認すべきなのは、
- 自分に扶養する家族がいるか
- 公的保障でどこまで備えられるか
- 貯蓄で不足分を補えるか
- 必要保障額はいくらか
です。生命保険は、すべての人に必要なものではありません。一方で、家族を守る必要がある人にとっては、将来の生活を支える重要な備えになります。
まずは自分の家計と保障の状況を整理し、必要な保障だけを準備することが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の加入・解約を推奨するものではありません。保険制度、公的保障、税制等は変更される場合があります。最新情報は各公的機関・保険会社等の公式情報をご確認ください。